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茶の話 (7) 韓国茶道では、なぜトレイを使うのか?

本家maazブログ2010/07/13のエントリです。

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悠久の時を超え現代に蘇る(?)韓国茶道を探訪するシリーズ。
 

今回は、トレイ(トイレじゃありませんw)の謎に迫ります。

 


毎度おなじみの風雅な韓国茶道の光景でございます。


美しいチマチョゴリをお召しの女性の前にございますのは、茶器を載せるトレイ、盆でございます。
そして、審査員と思しきオッサンと女性らは、卓袱台を前に坐しております。

 


さて、韓国茶道では、なぜ床に盆を置いて使うのでございましょうか。

 


そもそも、中国の茶芸に良く似た道具を使う韓国茶道、茶器を載せる盆が中国の茶盤に似ておりますのも無理はございません。しかしながら、中国茶芸の茶盤はテーブルに置いて使うもの。それを床に置くとは、いかがしたことでございましょう。

 

日本の茶道におきましては、茶筅を振って茶を点てますゆえ、畳の上に茶碗を置いて行うのが最も楽なのでございます。その上、畳を切った炉の茶釜から柄杓で湯を汲むなどいたしますことも、畳の上に茶道具を置くのが自然な理由でもございます。

 

 

一方、韓国茶道でございますが、韓国式正しい座り方、つまり立て膝をついた姿勢で、ポットの湯を注ぎ急須でお茶を淹れ、まことに窮屈そうに見えるのでございます。

 

日本の「煎茶道」におきましては、畳の上に布を敷き、その上に人数分の茶碗を一列に並べた細長い盆と他の道具を置いて茶を淹れます。但し、煎茶道は正座で点前を行いますので、動作が窮屈になることはございません。また、抹茶の茶道よりもダイナミックに湯を使いますことから、膝に帛紗を掛けて着物が濡れるのを防ぐようにいたします。元々、煎茶道は抹茶の茶道から派生しておりますので、畳の上でお点前をすることは、日本の畳文化や生活習慣からも自然なことと申せましょう。

 

このように考えますと、畳文化もなく茶道具による制約もない韓国茶道において、盆を床に置いて茶を淹れることはあまり理に適っているとは申せません。むしろ中国茶芸のように盆をテーブルに置いて使った方が自然なのでございます。

 

では、韓国にテーブルがないかと言いますと、写真を見ても分かります通り、審査員と思しきオッサンらは卓袱台を使っておるのでございます。もっとも、これはどうみても折り畳み式の日帝残滓。朝鮮伝統の卓袱台はないのかと思われるかと存じますが、元祖「朝鮮茶禮」では小さな膳を使っているのでございます。

 

「朝鮮茶禮」は、茶を飲む儀式ではなく、酒や食物などを供えて先祖を敬う儀式とのことで、これはまぎれもなく朝鮮オリジナルなのでございます。

 

されど、近年「韓国茶道は茶禮ではないニダ。高麗茶道ニダ」という流派が多勢を占めておりますゆえ「卓袱台なんか使わないニダ。床に置くニダ。日本の茶道は韓国起源ニダ」という状況になっているようでございますが、なんとその日本の茶道に高麗の卓袱台を模した「高麗卓」なるものが存在するのでございます。

 

     高麗卓

 

高麗卓は、写真のようなものでございますが、元々は朝鮮式の御膳のデザインを棚に取り入れたものでございます。

 

朝鮮式の御膳につきましては、19世紀末に朝鮮半島を訪れたアメリカ人アリフタン中佐が、手記に書き残しておられます。曰く、風変わりかつ優美な朝鮮式の小膳は、高さ約1フィートで、二本ずつ鎹で固定された4本の脚がやや内側に内反しており、食事の碗を配膳するため台の縁は幾分高まっている、と記されております。

 

高麗卓の点前は、棚点前の一種でございます。

 

平安末期に栄西禅師が、宋より茶と道具一式を持ち帰りました当時の、中国での作法では「台子(だいす)」という、棚よりも幅広いものが使われておりました。この当時の作法を、簡略にしたものが「棚」を用います棚点前で、さらに簡略化し必要最小限の動作だけに絞りましたのが平点前でございます。現在、もっともよく見られますのが平点前で、台子や棚を用いず、お道具はすべて畳の上に置かれます。

 

 

現在でも、台子を用いた点前におきましては、「唐物」と申します中国より取り寄せましたお道具、あるいはその写しを使いまして、宋より伝来当時のお点前を再現いたします。韓国起源のはずの日本の茶道に、中国式作法は伝承されておりますものの、韓国式作法が伝承されておりませんことは、全国のウリナラ起源愛好家の方々には格好のミステリーネタとしてお楽しみいただけることと存じます。

 

しかし、「高麗台子」というものは存在しております。高麗台子は、宗旦好みと遠州好みの二種類がございますが、宗旦好みは琉球貿易で輸入した唐物の写しと言われており、高麗卓は宗旦好みの高麗台子の幅を半分程度にしたものでございます。遠州好みの高麗台子は、木地製の大棚といった風情のまったく違うデザインでございます。

 

棚点前に用いる棚は、教科書にあるだけでも60種類ほどあり、高麗卓はその一つでございます。それぞれに、代々の家元が好んだという由来などがあり、棚によってお点前の作法が異なることもございます。棚には、水差と薄茶を入れる棗を飾ってお点前しますが、点前が終わったら柄杓と蓋置きを飾ります。


  

 シンプルな利休好みの角棚      御所車をイメージした御幸棚

 

茶道の点前の後には、必ずお道具の拝見がございますが、拝見に出されますのは、薄茶の場合は棗と茶杓、濃茶の場合は茶入れ、茶杓、茶入れに着せる「仕覆(しふく)」のみでございます。通常、柄杓と蓋置きは、点前が終わったら亭主が持ち帰りますが、棚点前の場合は最後に飾りますので、蓋置きはお客様の目を楽しませる伝統的意匠や季節感のあるものを用います。


というわけでございまして、この「高麗卓」こそ「ウリナラ起源の証拠ニダ」と騒ぎそうなものの、全く触れられないのもまたミステリーでございます。ウリナラ起源捏造の底の浅さとも言えましょうが、今後、韓国茶道が高麗卓を用いるように進化する可能性もございます。

 

 

チマ・チョゴリを着ただけで日本の茶道と全く同じお点前をしていた捏造の原点から、ロング茶筅茶道、トイレットペーパー茶道という道のりを経て、現在の中国茶芸モドキのスタイルを確立しました韓国茶道。


日々進化する韓国茶道に、当ブログも微力ながら貢献できれば幸いに存じます。
 

 

 

 

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