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「夫婦別姓」と「戸籍制度廃止」 (13)

前回】のつづき>>>>

 


「先輩が欲しかった情報にどういう意味があるのか、きっと答えてくれないでしょうから聞かないでおくわ。それにしても、先輩が欲しい情報がすでに手に入ったのなら、私が局に戻って仕事をする必要はないんじゃないかしら」
美和子は、君江の手料理を頬張りながら、気のないふりをして祐介の本心を探ってみようと試みた。久しぶりの家庭の味に、気持ちが和む。祐介も、うれしそうだった。


「君も、なぜあれだけ無能な民主党が政権を取れたのか興味あるだろう。民主党政権実現のために、マスコミがどういう役割を果たしていたのか、局の中で仕事をすれば数日で理解できると思うよ。マスコミは以前から狂っていたけど、君のいない6年間に、どれだけ異常さが増したか確認してくるといい」
「以前から狂っていただなんて、その言い方はひどいと思うわ」美和子は、反発した。

「内部にいた君には同意できないだろうけど、僕ら受け手からすればずっと狂っていたさ」
祐介はニヤリとして美和子を見た。
 

「日本のテレビ局は、昔からどこも横並びだったろう。どこの局も同じ時間帯に同じものを流してる。ニュースの時間帯といえば、どこを見てもニュースばっかり。ドラマの時間帯にはドラマ。ワイドショーの時間帯はワイドショー。視聴者には選択肢がほとんどない。視聴率を稼ぎたい局の都合だけ。挙句に大きな事件が起きれば、どこも同じような映像ばかり一日中垂れ流す。局が複数存在する意味が全然ないだろう。そのくせ、自分たちの横並びを棚に上げて、一般の業界や省庁などの横並びを批判している。異常だと思わないか?それに、」
美和子が何か言いかけたが、祐介は続けた。

 

「論調が全局同じというのも異常だよ。特に第二次大戦における日本の評価なんて、すべての大手マスコミが全く同じ。中国や韓国の主張なら嘘でもなんでも同調して、とにかく日本を批判してさえいれば安心してる。反論されたら自信を持って議論できないことの裏返しなんだろうけど、そんなことアメリカで通用するかい?」
「それは、しょうがないわ。日本とアメリカでは、立場が全然違うもの」
美和子は気色ばんだ。

 

「終戦から何十年たっていると思うんだ?君の頭の中では、いまだに日本はGHQ占領下か?アメリカでも、報道の立場は様々だろう。君たちマスコミも、いつまでも占領下気分で甘えていないで、一人前にアメリカの批判でもしてみたらどうだったんだ?全くできていなかっただろう」
「そんなことないわ。沖縄での米兵による女児暴行事件では、マスコミは一丸となって基地反対住民と戦ったわ」
「あれは沖縄で基地を提供している日本政府を批判しただけだろう。それに、どうして近年発生した事件だけを取り上げるんだい?どうして、戦時中のアメリカの非人道行為を正面から批判しないんだ?」
祐介は、美和子をわざと追い詰めるように問いかけた。

 

「当然だわ。だって戦争を起こした日本の責任ですもの」
「責任云々の話じゃない。そんなことは講和条約が結ばれれば消滅する。綺麗サッパリ忘れていい。どちらが戦争を仕掛けようが、どちらが勝とうが負けようが関係ない。戦時中に行われた非人道行為は、どちらが起した事であれ将来の教訓として正面から取り組むべきだろう」
「当然よ。だから私たちは、日本が起こした数々の非人道行為を取り上げてきたわ」
「だから、なんで日本が起こしたとされている事件ばかりなんだ?アメリカや中国が起こした事件も沢山あるだろう。なぜそこに斬りこまない?海外からの批判がそんなに怖いのか?」
「ち、違うわ!日本人は、今後絶対に戦争を起こしてはいけないのよ。何があっても戦争はだめなのよ。日本人全員が戦争に対する罪悪感を持たない限り、戦争はなくせないわ。私たちは、日本人が二度と戦争を起こさないように、そう願って、平和を願って報道を続けていたのよ。多少、話に誇張があったとしても、それも平和のためよ。戦争を起こさせないためよ!」
美和子は、一段とトーンを上げてまくしたてた。祐介は、フフッと笑った。
「何?何がおかしいの?」

 

「君は、局に入ってずっとそれが正しいと教育されていたんだろうけど、君らがやっていることは洗脳だよ。マスコミが最もやってはいけないことだ」
「そんなことないわ」
「いや。君は今、日本人に戦争を起こさせないために罪悪感を持たせる報道をしたと言ったね。しかも誇張も交えて。つまり、ウソだ。君らは、それが平和目的のつもりかもしれない。だが、戦前のマスコミが戦争を煽っていたのと同じ過ちを繰り返していることに気付かないか?」
「どういうこと?」
「マスコミが扇動して日本人全体を同じ考えにする。正に全体主義だよ。これこそファシズムだ。いいかい?社会の安定を保つには様々な考えがなくてはならない。それがバランスを保つことだ。だが、全員が同じ思考を持っていたら、正しい道だろうと間違った道だろうと、疑問を持たずに全員が同じ方向に進むことになる。」
「そんなことないわ。日本人さえ罪悪感を持って国際社会に貢献していれば、戦争は起きないのよ」
「君は、日米戦争を起こしたのは日本だと言いたいのかい?」
「当然よ。真珠湾攻撃を仕掛けたのは日本ですもの」

 

「オーケー。じゃあ、それが原因だとして、アメリカが対日戦に参加するのは理に適っているけど、ヨーロッパ戦線に参加したのはなぜなんだ?別に日本と戦争を始めたからと言って、ドイツと戦争する必要はないだろう」
「それは、日本がドイツと同盟を結んでいたから」
「はっは!同盟を結んでいたら、同盟国すべてと戦争しなくちゃいけないのか?ドイツがアメリカ大陸にまで空襲に来たって言うなら話はわかるよ。でも、あの当時アメリカがドイツに危害を加えられる可能性は、ほとんどゼロだった。にも拘わらずアメリカは、わざわざヨーロッパ戦線に兵を送って、数十万もの犠牲を出したんだ。なぜだ?」
「しょうがないわ。ヒトラーという独裁者が暴虐の限りを尽くしていたんですもの」
「だとしても、アメリカ人の若者の血を流す理由にはならないだろう。そもそも、自分で闘おうとしない腰ぬけのフランス人のために、アメリカ兵がノルマンディーに上陸して血を流すなんて割に合わない話さ。フランスがドイツ帝国の支配下に置かれたからって、アメリカは経済的にも外交的にも全然困らないだろう」
反論しても、反論しても、祐介は攻めてくる。美和子の表情に困惑の色が浮かんだ。

 

「やれやれ。君らは、情緒的なこと以外全く頭にないんだね。これじゃ、いつまた戦争が起きても可笑しくないよ。もっと実利的な側面から情勢を観ることはできないのかい?」
「実利的って・・・。そうね。あの戦争に勝つことで、アメリカは戦後のスーパーパワーの地位を築いたんだわ」
「やっと理性的な回答が出たね。戦争で助けてやって恩を売る、か。まあ、悪くないけど、それでも何十万もの血を流すほどの価値はないと思うよ。放っておいてもアメリカは、圧倒的な経済力と技術力で戦後のスーパーパワーになれたし、その程度の予測はできていたはずだ。アメリカが参戦することで、却ってソ連と中国を利することになって戦後の冷戦状態を生んだんだ。決して、いい結果だったとは言えない」
「ええ、確かにそうね」美和子は、テーブルの上を見つめながら力なく返事した。

 

「世の中の事象の起こる原因は、必ず複数ある。ところが、君らマスコミは事象の原因を必ず一つにしたがる。つまりは犯人探しだ。これが原因だ。こいつが悪い。そうやって悪者を作って物事を単純化しようとする。マスコミの本当に悪い癖だ。いいかい、例えば戦争。本当に原因が一つなら、外交で回避できるはずなんだ。それでも敢えて戦争に踏み切るのは、当事国にとって無視できない複数の要因が存在するからだ。単純に日本が悪い、日本さえ謝っていれば戦争は起きないなんてことは絶対にないんだよ」

 

「いいかい。アメリカは全くの実利的な国だ。得にならないことでは絶対に動かない。結果的に悪く転ぶこともあるけど、最初から損すると思って行動はしていない。第二次大戦におけるアメリカの利害は複数ある。まず、中国進出に出遅れたアメリカにとって日米戦争に勝つことで、日本が中国に持っていた利権がアメリカに転がり込んでくるはずだった。だが、世界の潮目が植民地独立の流れに変わってこの目論見は外れた。次に、ヨーロッパ戦線。確かに、イギリスとフランスに恩を売ることができた。だが、ソ連を引き込んだことで戦後得られる利益が半減したと言っていいだろう。ある意味、アメリカは全くのバカを見ることになったんだが、アメリカが本当に参戦したかったのは太平洋戦線ではなくてヨーロッパ戦線だ。英仏にヨーロッパ戦線に参戦する約束をしてから、日本との開戦の方法を模索している」

 

祐介の饒舌に、美和子はついて行くのがやっとだった。

 

「実は、アメリカは英仏に対して莫大な債権を持っていたんだ。つまり、英仏がドイツに敗れればアメリカの持っていた債権は取り立て不能になりかねなかった。ヒトラーもそのことは熟知していた。だから、対米債務を増やそうと努力していたんだが、十分な借金ができる前に戦争に突入してしまった。この事実を現代の日本に応用して考えたらどうなる?」

 

「どうって?」


 

「君は、怖くならないのかい?日本は世界一の債権国だ」

 

 


>>>>つづく

 

 

AUTHOR: kenzo1348 DATE: 08/28/2010 00:37:31 こんばんは。 物語はいよいよ佳境に入る? 実はここに出てくる祐介と美和子のやり取りに近い場面を何度か経験しておりまする。 以前ここにカキコさせて貰った折に言及した、犬HKの元職員(某国の支局長を経て解説委員、その後どうなったかは興味もないので知らん、家庭がカカア天下になったのは確か)に嫁いだオバ、事もあろうに、民放の総元締め某広告代理店D社に長年勤務した私メのヨメ、いきおいその知人・友人はマスゴミ勤務ばかりでミンスの話になると、「ミンスはダメですね、これじゃ自民とおんなじ」、と判で押した様な同一模範回答。完全に洗脳されと~る。 今や「どちらが良いか」または「どちらが悪いか」または「どちらがマシか」ではなくて「どちらがより害が少ないか」で話を始めなくてはいけないこの国の現状です。
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