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「夫婦別姓」と「戸籍制度廃止」(3)

【前回】のつづき>>>

 

 

日本人の消費税率が100%で、外国人の消費税率が5%?

どうかしてるわ。

 

美和子は、不思議の国に迷い込んだような気分で、ホテルを出た。

ひとまず駅に行き、コインロッカーにスーツケースを預ける。

「あら、ここはIDに関係なく一律なのね」

そういえば、昨日リムジンバスの切符を買った販売機もID認証はなかった。

自動販売機の認証装置を普及できていないようだ。

 

そういえば、民主党はハイテク関連に弱いと聞いたわ。

消費税法案を可決した時点で、そこまで頭が回らなかったのかしら?

なんだか、やることがずさんな感じで間が抜けてる。

 

そのまま駅を離れ、昔から近所づきあいのあった川村さんのお宅へ向かった。

川村さんの家にたどり着くには、自宅の前を通らなければならない。

昨日の人権救済委員の目が光っているのではないかと、嫌な気分になった。

 

なぜ、自分の家の前を通るのに遠慮しなくちゃならないの。

 

自宅の前を通り過ぎ、一ブロック歩くと懐かしい川村さんの家の瓦屋根が近づく。

と、同時に騒がしい声が聞こえていた。中国語かなにかで喚いているような声だ。

声は、川村さんの家から発していた。

門の表札を見ると「陳」に変わっている。

 

代々ここに住んでらしたのに。突然、どこかへ引っ越したのかしら?

 

信じられない思いで、美和子は後ずさりしながら、旧川村家を離れた。

自分の家が乗っ取られたり、代々この町に住んでいた川村さんの代わりに中国人が住んでいたり。

本当にどうなっているの?

 

駅に戻ろうと、しばらく歩いていると、消え入るような小さな声で美和子を呼ぶ者があった。

 

「美和子ちゃん、、、、美和子ちゃん」

 

振り向くと、路地の陰から美和子を呼んでいるのは川村さんの奥さんだった。

「あ・・・、川村さん」

美和子は、川村さんに駆け寄った。

「どうしてらしたんですか、川村さん。ご自宅は?いつ引っ越されたんです?」

 

しっ!川村さんは、美和子を制止し路地の奥へと引っ張り込んだ。

 

「美和子ちゃん。私の家に行ったのね。」

「ええ、そうだけど。でも、川村さんはここで何を?」

「実は、昨日美和子ちゃんがトラブルに遭っているのを見たのよ。それで、きっと今日うちを訪ねてくるのじゃないかと思ってね」

昨日の人権救済委員の一件を、川村さんは見ていたのだ。

「ごめんなさいね。あの人達に巻き込まれるのが嫌で、声をかけてあげられなくて」

「ああ、そうだったんですか。それは気になさらないで。私も、私の家族がいなくなったことについて、川村さんにお伺いしたかったの」

すると、川村さんは気の毒そうな眼をして美和子を見た。

「ああ、美和子ちゃん・・・・そのことね。何と言ったらいいのか・・」

川村さんは口を濁した。

何か迷っているようだったが、思い切ったように口を開いて言った。

 

川村さんの話をまとめると、妹の涼子が3か月前に大学のサークル活動で韓国に行き、その後、数週間のうちに家族が入れ替わっていたのだという。

その後、涼子は帰らず、両親の行方も庸として知れなかったらしい。

 

「でもね、美和子ちゃん。あたし、あの入れ替わった家のお嬢さんていう人、一度会ったことがあるのよ」

「どういこと?」

「前にね、涼子ちゃんが韓国語サークルのお友達だって紹介してくれたのを、あたし覚えていてね」

「涼子のサークルの友人一家が、私たちの家を乗っ取ったってこと?!」

美和子が、思わず声を上げると、どこで誰に聞かれてるか分らないからと、川村さんが抑えた。

 

「ああ、そういえば、川村さんはなぜあの家を引っ越されたの?あの、ご主人は?」

「主人は、二か月前に亡くなりました」

「ご、ごめんなさい。でも、どうして急に。まだ、お若かったわ」

 

川村さんは、うつむきながら手に持ったハンカチをきつく握りしめた。

 

「美和子ちゃん。実は、私ね、川村じゃないの。旧姓の佐久間に戻ったの」

「まさか!」

「早合点しないで。離婚したんじゃないのよ。無理やり夫婦別姓にさせられたの」

「どういうこと?夫婦別姓法案が可決したのは知ってるけど、あれは選択制でしたわよね」

 

 

「それが、ある日突然、主人が人権救済委員の婦人部隊に呼び出されて、吊るしあげられたんです・・・なぜ、いつまでも『夫婦別姓』にしないのかと」

 

 

>>>つづく

AUTHOR: kenzo1348 DATE: 07/11/2010 02:12:19 こんばんは。 いや~面白いです。 最近はPCで全部済ましてしまう悪い癖がついて本も読まなくなったんですが、maazさんのこの短編を一から読んでいるうちに、昔読んだ星新一の「ショートショート」を思いだしましたよ。 次回熱烈期待。
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To kenzo1348さん
>変な事を思い出しましたよ。
>
>2~3か月前だったか、外国人に「家を貸してくれ」と言われて断ったら罪になるとかいうトンデモナイ法案(?)条例(?)をミンスが国会に出したとかいう話、あれどうなったんでしょうかね?
あの法案ですね。実は、外国人に貸さないという話ですと現状でも差別に当たり、刑事にはなりませんが、民事で賠償請求される可能性があります。
民主の法案は、大家が店子に家賃を「厳しく」取り立ると違法という内容だったと思います。職場に電話したり、催促の書面を送ったりすると違反と言う、意味不明な法案です。現在でも、店子の居住権が強いせいで、入居時の審査が厳しくて保証人を立てられない人は借りるのが難しいのですが、家賃の催促が違法となるともっと厳しくなると思います。誰のためにもならない法案という・・・

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