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茶の話(18) 丁宗鐡をぶった斬る その6

purple-dさまのご紹介で始まりました、丁宗鐡をぶった斬るシリーズも、いよいよ6回目を数えることとなりました。

 

丁宗鐡は、正座は江戸時代の武士階級の作法で、庶民が正座を始めたのは明治政府が広めたためと主張しているようでございますが、その真相やいかに?今回も、江戸時代初期に編纂されました「人倫訓蒙図彙」を駆使して、日本人と正座の歴史に迫りとう存じます。

 

 

またまた、恐縮ながら前回と同じウェブサイトからの引用でございます。

ウェブサイトを書かれた方が、丁宗鐡の主張を纏めていらっしゃいます。

 

 

==== 引用開始 ====
http://www7a.biglobe.ne.jp/~thaishun/zaturoku27.html

 

この支配階級(=武士階級)の作法である正座を、明治新政府は、正座の習慣がなかった庶民にも勧めた。これが、女子教育の茶道にも取り入れられた。茶道と正座の関係は、思っているほど深くはないようだ。

 

 今日、“正座”と呼ばれる座法は、本来は「かしこまる」とか「つくばう」「跪坐(きざ)」「端坐(たんざ)」などと呼ばれ、主として神前、仏前での儀礼的な場面で行われ、また主君に対して家臣がかしこまる姿であった。そして庶民が日常的に正座をするようになったのは、畳の普及や座布団(ざぶとん)の使用が正座を広めた側面もあり、それらが庶民に普及し始めた明治末ではないかという。

 

==== 引用終 ====

 

 

>この支配階級(=武士階級)の作法である正座を、明治新政府は、正座の習慣がなかった庶民にも勧めた。

 

百聞は一見に如かず。「人倫訓蒙図彙」で町人、農民など庶民の描かれ方を確認いたしましょう。

 

 

まずは、芸道者や算勘など専門職の部から。

 

左は筆道者、現代的に言えば書道家でございまして、右は学者とございます。

 

学者や筆道者などの元々の身分は、武士や僧侶ばかりではございません。実力の世界ですので町人出身者もおります。

 

こちらを見ますと、武士が師匠に畏まって教えを受けております。

日本人にとりましては、どのような出身の者でも師匠と名がつけば、尊敬の対象でございますゆえ、武士と言えども教えを受ける際には正座してかしこまるのでございます。

 

つまり、以下の考え方は正しいとは申せません。

 

>今日、“正座”と呼ばれる座法は、本来は「かしこまる」とか「つくばう」「跪坐(きざ)」「端坐(たんざ)」などと呼ばれ、主として神前、仏前での儀礼的な場面で行われ、また主君に対して家臣がかしこまる姿であった。

 

丁宗鐡は、正座を主君に対する忠誠の表現と誤解しておるようですが、正座は忠誠を表すものではございません。

正座は「敬意」を表現するものでございます。

 

 

左頁にございますのは、目利き(鑑定士)と香嗅ぎ(香道者) 、右頁は立花(生け花)と庭作りの様子でございます。

 

目利き、香嗅ぎ、いずれも正座いたしております。目利きに鑑定を依頼している者も正座していると思われます。

目利きが正座をいたしておりますのは、依頼人からの貴重品を丁重に扱っておるためでございます。

香嗅ぎの正座は、茶道と同じく香道にも「不動の姿勢」が採り入れられたものでございます。

 

生け花をしている武士も正座でございます。花に対する忠誠心はございませんでしょうから、これも不動の姿勢でございましょう。

しかし、庭作りともなりますと、このようにワイルドな出で立ちで行わざるを得ません。

 

 

左頁は商家の算勘(経理)の様子、右頁は、諸礼者が武士に講義をしている場面でございます。

 

算勘の右上に描かれているのは、羽織を付けておりますので番頭でございましょう。胡坐をかいております。

算盤を弾いておりますのベテランの手代、手前の前髪は丁稚でございますが、それぞれ正座いたしております。

 

このように江戸初期にして、商家の人間、つまり町人も正座をしていたのは明確でございます。

 

 

 

右頁は、一筋切(ひとよぎり)と申しまして、尺八から派生した楽器でございます。

師匠も、前髪の武士の子弟も正座いたしております。

 

しかし、武士と言えども、魚を捌く台所方ともなりますと、正座などしてはおれません。

 

 

 

右頁は、囲碁や将棋に興じる様子でございます。武士や坊主も、リラックスして思い思いの座り方をしております。

因みに、左頁に描かれておりますのは、楽人でございます。 

 

 

次に、商人の部を見てまいりましょう。

 

 

まずは、呉服屋でございます。

 

呉服屋と言えば、高級品を取り扱う大店でございます。

使用人の教育も行き届いておりますゆえ、作業に適した姿勢で商品を取り扱っております。

当然、正座もいたします。

 

 

 

古手屋(右)は、古着を売買するカジュアルなお店でございますが、武士相手に接客いたします際は、正座で畏まって対応いたします。

 

しかし、大店と違い客も来ない時間には、左頁の切れや(端切屋)のとおりでございます。

 

 

 

左の質屋は、相手が町人ですので畏まることなく胡坐で対応いたしております。

 

唐物屋(右)は、輸入した茶道具などを扱う店でございますが、客がキセルをふかすような状況では、立て膝でざっくばらんな対応でございます。取り扱い商品の性質上、顔なじみが多いようでございます。

 

 

 

蘭麝粉屋は、異性を誘う香料のお店でございます。

妙齢の女性客が多い商売でございますゆえ、正座で丁寧に対応しておるようでございます。

 

 

 

左は珍しい商売で、口寄せ巫女と書いてございます。

いわゆる霊媒師でございますが、正座を致しておりますのは、霊界に対する敬意でございましょうか。

あるいは、客が帯刀しておりますところを見ますと、武士への敬意でございましょうか。

 

右は、遊里の店の様子でございますが、太夫は正座しております。

手前におりますのが「やり手」、左におりますのが「くつま」と申します店の主人でございます。

ここでも客はお武家のようでございます。

 

 

現代におきまして「かしこまる」という言葉から誰もが連想いたしますのは、店員の使う「かしこまりました」という言葉でございます。江戸時代、士農工商の一番下に位置づけられた商人であればこそ、かしこまる機会がどの身分よりも多かった名残でございましょう。

 

 

 

次回は、職人と農民、畳の歴史を見てまいります。

 

 

 

ぶった斬る!シリーズ

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その1 丁宗鐡をぶった斬る!

その2 妻と母親を取り違える丁宗鐡

その3 安土桃山時代に高麗人!?!時空を超える丁宗鐡

その4 朝鮮女性はモノと同じですが、江戸の女性は違います

その5 丁宗鐡「利休は正座していなかった!キリッ!」 ~ してますが。

その6 忠誠心と敬意の違いが理解できない丁宗鐡

その7 正座は日本人の心です

その8 丁宗鐡が知らない畳の歴史

その9 江上剛・書評を書いて法則発動

まとめ 丁宗鐡「正座と日本人」間違い一覧

 

 

AUTHOR: kentanto DATE: 09/01/2010 21:58:11 こんばんは。 > しかし、武士と言えども、魚を捌く台所方ともなりますと、正座などしてはおれません。 この絵は面白いですね。これは服部流(服部料理学校校長が継承しているらしい)なんかの料理を行う流派のやつですかね。 確か食材を直接手で触れることなく、箸と包丁で全てを捌くとか。 > この支配階級(=武士階級)の作法である正座を、明治新政府は、正座の習慣がなかった庶民にも勧めた。 これが嘘なのは普通に考えれば明らかなんですが、それを本にしちゃうと後々までも証拠が残りますねぇ。
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To tm05311さん
>敬意は朝鮮人には理解出来ない理念ですね。人に対して、物に対してその様なことはしてないし。
>正倉院に大切に保管されている宝物は、もうここにしかない物で溢れています。
>地の果て極東で保管されているとは、誰も思っていなかったようです。
>
>次回は畳の話ですか。楽しみです。
日本には、本当に歴史的に価値の高い者が多数残っています。
中国や朝鮮のように、民族が入れ替わったり支配者が入れ替わったりしなかったことの証でしょうか。

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